農業を論じる際には、農地の面積がどれくらいあるか分かっていると、話がスムーズに進みます。これは、農家単位や産地単位だけではなく、国単位でも言えることです。
でも、いざ調べようとすると、なかなかよい資料がないのが現状ですよね。
そこで、このページでは、韓国と日本の最新統計をもとに、両国の農地事情の共通点や違いを整理してみました。5つのグラフを準備し、日韓両国の農地事情が直感的に分かるようにしています。
農業の基本である農地の面積データを知ることで、韓国農業の特徴をより深く知ることができます。
- 韓国の農地面積は、日本の35%程度しかない
- 土地利用の比率は非常によく似ており、両国とも森林面積率は60%台、住宅地など「その他」の土地面積率は20%前後である
- 韓国の方が国土面積に占める農地面積率は高く、畑地が日本より多いものの世界レベルでは類似
- 一人当たりの農地面積で見ると、韓国は一人当たり0.03ha(ヘクタール)=300㎡しかなく、日本より狭い
- 韓国の農地は、水田面積が2013年以降の10年間で20%近く減少している
日本と韓国の土地面積や農地事情を比較してみた
実数での比較
国単位で土地利用を把握する場合、大きくは以下の分類を用いて論じます。
- 森林面積
- その他の土地面積(住宅地、道路、工業用地、河川など)
- 農地面積
コメが主食であるアジア諸国の場合、農地面積を以下のようにさらに細分化して示します。
- 水田(用水路があり、水を張って稲を栽培できるもの)
- 畑地(普通畑、牧草地、樹園地の合計)
グラフを一目見てお分かりでしょうが、韓国の土地面積は日本に比べると狭く、日本の26.7%しかありません。また、両国の陸地面積(国土面積から湖や川を除いた面積)は以下のようになっています。
- 韓国:約9.75万平方キロメートル(9,745千ha)
- 日本:約36.46万平方キロメートル(36,456千ha)
このうち、両国の2022年現在の農地面積は以下のようになっています。
- 韓国:水田:776千ha、畑地:753千ha(合計1,529千ha)
- 日本:水田:2,352千ha、畑地:1,973千ha(合計4,325千ha)
以上のデータから、韓国の農地面積は、水田で日本の33%、畑地で日本の38%です。
でも、上で示したデータだけでは分かりにくいので、以下で少し加工したデータを元に説明します。
比率での比較
今度は、陸地面積全体を100%として、土地の種類別の利用率をみていきましょう。
まず、目を引くのは、森林と「その他」土地の面積の比率が、両国ともにほとんど変わらない点です。
両国とも、森林で60%台、「その他」で20%弱になっています。
さて、肝心の農地の部分ですが、以下のことが分かります。
- 農地面積率(合計)は、韓国が15.7%と、日本の11.9%より少し高いが、大差はない
- 韓国は、水田と畑地がほぼ同じ面積だが、日本の方は農地面積全体の60%弱が水田
世界にはいろいろな国があり、例えばデンマークは国土の60%が農地です。
また、世界平均で見た場合、陸地面積の10.6%を農地が占めています。
以上を考えると、農地面積率に関しては、日韓両国とも世界平均より少し高いレベルであることが共通しています。
国民一人当たり面積での比較
以上のように見ると、農地の所有に関しては、韓国の方が恵まれていると思われるかもしれません。
でも、両国の人口を加味してデータを作り直すと、意外なことが分かります。
まず、日韓両国の2021年現在の人口や人口密度は、以下のようになっています。
- 韓国:5,183万人(人口密度515人/平方キロメートル)
- 日本:1億2,600万人(人口密度336人/平方キロメートル)
韓国の人口密度は、日本の1.5倍も高いことが分かります。
よって、国民一人当たりの土地面積も、当然韓国の方が少なくなります。特に農地面積に着目すると、
- 韓国:水田150㎡、畑地145㎡(合計295㎡)
- 日本:水田186㎡、畑地156㎡(合計343㎡)
数字だけでは分かりにくいですが、他の知識と組み合わせると、以下のことが考えられます。
- 水稲収穫量が100㎡当たり50kgとした場合、計算上は韓国が75kg、日本が93kgになる
- 管理人が栽培する貸農園は30㎡であるが、うまく作っても4人家族の野菜をまかなえない
つまり、日韓両国とも、国民に農地を均等割りすれば、家庭菜園に毛が生えた程度の農地しか所有していないことになるのです。
日韓両国の2013年以降の農地面積を整理してみた
農地は、森林などを利用して新しく作られることもある反面、開発により住宅地や道路になることもよくあります。
なので、農地面積がどのように推移しているかをつかんでおくことも、その国の農業事情を理解するうえで重要です。
日韓両国の農地面積の推移を整理すると、以下のことが分かりました。
- 韓国:水田面積がこの10年で20%減少(畑地面積はほぼ変わらず)
- 日本:水田・畑地面積とも、この10年で5%減少
以上を見ての管理人の推測です(この件は今後も調べていきたいと思います)。
日本は、農地を他の土地に転用する規制が韓国より強いためか、農地の減少率が韓国より低い。
韓国は、多くは平地にある水田の減少率が日本より高いので、都市近郊の農地が住宅地や工場などに転用されていると思われる。
まとめ
- 韓国と日本の土地利用状況は、大きく見ると非常に似ている
- 両国とも、森林が多いせいもあり、国民一人当たりの農地は少なめ
- 国土に対する農地利用率では韓国が日本より高く、人口一人当たりでは日本が韓国より多い
- 韓国は日本に比べ、畑地が占める割合が高い
- 近年、韓国では水田面積の減少幅が大きい
以上、読者のみなさまの参考になれば幸いです!
参考文献
・日韓両国の面積・人口:総務省統計局「世界の統計2023」p4、p21
・日本の農地面積:農林水産省「令和4年耕地調査」23.05.07閲覧
・日本の森林面積:森林・林業学習館「日本の森林面積と森林蓄積」23.05.07閲覧
・韓国の農地面積:大韓民国政策ブリーフィング「2022年耕地面積調査」23.05.07閲覧
・韓国の森林面積:大韓民国統計庁e-ナラ指標「山林面積および林木蓄積」23.05.07閲覧