【目的から違う?】韓国と日本の外国人材受け入れの特徴が分かる5選【業種・国別の状況は?】

韓国と日本の外国人労働者の在住数を示したグラフ 構造・農政구조・농정

ここ数年で、働いている外国の方を見かけることが多くなりましたよね。管理人が日々接する農業現場でも、ここ7~8年で外国人材がずいぶん多くなりました。

これは、日本だけでなく、お隣の韓国でも同様の状況です。

そして、外国人材の受け入れには、さまざまな種類がありますが、中でも「技能を有しない人材を特定国から受け入れる」制度が日韓両国ともに確立されています。

でも、韓国の外国人材受け入れ制度については、あまりご存じではない方も多いと思います。

そこで、このページでは、最新の統計や文献調査をもとに、日韓両国の外国人材受け入れ制度の概要や両国の違いについて整理してみました。

また、業種別人材数などのデータは、直感的に分かるようにグラフで示しました。

お隣の韓国で、どのような外国人材がどの程度いて、どんな風に働いているか、手早く知りたい方は必見です。

  1. 韓国の制度は国内の中小企業や農業など人材確保が難しい業種への救済制度に対し、日本の制度は開発途上国の人材育成や経済発展を目的にした制度であり、趣旨が全く異なる
  2. 韓国の場合、事前に政府が各業界団体に打診して人数を割り当てるのに対し、日本の場合は、受け入れる個別企業の意向が強く働いている
  3. 外国人材の資質担保のうち重要な語学力については、韓国では試験合格による認証、日本では講習時間による認証で対応している
  4. 韓国における外国人材の出身国はかなりばらけているが(上位8か国計85%)、日本は特定の出身国に集中(上位4か国計86%)
  5. 外国人材の処遇は、事業内での移動ができるなど法令面では韓国が恵まれているが、寄宿舎が劣悪などの課題も多い。日韓両国とも、処遇改善が早急である

韓国および日本の主に開発途上国からの外国人材受け入れ制度概要

韓国:「外国人勤労者雇用許可制(외국인근로자고용허가제)」

所管する韓国雇用労働部によると、「外国人勤労者雇用許可制」の概要は以下のとおりです。

  • 目的:国内居住者を雇えない中小企業が政府から雇用許可書の発給を受け、合法的に非専門外国人材を雇用できるようにする制度。
  • 許可対象:中小製造業(勤労者300人未満または資本金80億ウォン以下)、農畜産業漁業(20トン未満)、建設業サービス業(9業種:建設廃棄物処理業、再生用材料収集および販売業、冷蔵・冷凍倉庫業、書籍雑誌およびその他出版業、音楽およびその他オーディオ出版業)

日本:外国人技能実習制度

所管する厚生労働省によると、外国人技能実習制度の概要は以下のとおりです。

  • 目的:我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力すること。
  • 受入れ可能職種:農業、漁業、建設、食品製造、繊維・衣服、機械・金属、その他(20職種:家具製作、印刷、製本、プラスチック成型、塗装、溶接、自動車整備、ビルクリーニング、コンクリート製品製造、陶磁器製品製造、紙器・段ボール箱製造、介護、宿泊、鉄道施設保守整備、リネンサプライ等)

日韓の外国人材受け入れ制度の相違点

韓国と日本の外国人材受け入れ制度の違いは、大きく分けて以下の5点に整理できます。

受け入れの趣旨がまったく異なる

上のグラフは、外国人材の在留人数の推移を示したものです。

韓国の場合、2009~2019年までは外国人材の在留人数はほぼ一定に保たれています。

対して、日本の場合、2007年は10万人だったのが、2019年には40万人を超えるなど、この10年で急増しているのが分かります。

両国の在留人数の推移が異なるのは、韓国が政策的にコントロールして人材受け入れをしているのに対し、日本は受け入れ業種の判断で行っていることが分かります。制度そもそもの前提が異なるから、受け入れ人数に差が生じると考えてよいです。

前項で見たとおり、韓国の制度は、「中小企業が(中略)合法的に非専門外国人材を雇用できるようにする」ために設けられました。

対して、日本の場合、「技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う人づくりに協力」するための制度と定義されています。

韓国の場合は国内の中小企業や農業など人材確保が難しい業種への救済制度であるのに対し、日本の場合は開発途上国の人材育成や経済発展を目的にした制度であり、全く異なることが分かります。

韓国では「業種別割当」がある

下のグラフは、2022年現在の日韓の外国人材受け入れを業種別人数(比率)で整理したものです。

実は、韓国の場合、事前に政府が各業界団体に打診して人数を割り当てています。事前要望が一番多かったのが製造業であり、次に農業や漁業といった状況なのです。また、サービス業の範囲が著しく制限されているためもあり、サービス業(グラフではその他と表記)の受け入れはほぼありません。

これに対して、日本の場合は、受け入れる個別企業の意向が強く働いているため、韓国では少ない建設業やサービス業など、多くの産業領域に拡大しているのが現状です。

ちなみに、本ブログの趣旨である農業関連を簡単に見ておきます。

農業分野の外国人材受け入れ数は、韓国が26600人、日本が31194人と大差はありません。

しかし、韓国の農家数が約50万戸、日本は約100万戸であることを考えれば、韓国の方が外国人材に依存する割合が大きいと言えそうです(参考記事:下リンク)。

【韓国は小規模多】日韓両国の経営規模別および販売額別農家数を整理して分かったこと4選【日本は農家数減少激しい】2023年版
日韓両国の経営面積や販売額別の農家数について、直感的に分かるようにグラフで示しました。5年前の販売額別農家数についても整理し、両国の農業がどう変化しているかも整理しました。

受け入れる前の人材における資質担保方法の違い

外国で就労なり実習して生活していくには、語学力の担保が欠かせません。資質の担保≒語学力の担保と言っていいのですが、韓国と日本では担保方法がかなり違います。

韓国:語学試験に合格しないと入国できない

実は、韓国には、「外国人勤労者雇用許可制」に特化した語学試験があります。それが、EPS-TOPIKです(EPS:Employment Permit Systemの略、TOPIK:Test of Proficiency in Korean)。

200点満点のEPS-TOPIKで80点以上取れた人だけが、韓国で就労できるとされています。

また、「外国人勤労者雇用許可制」について韓国と受け入れ合意した国籍者で、しかも18~39歳までの男女と年齢制限までされています。

このように、試験に合格して一定の語学力があると認証された人材のみが韓国で就労できるのです。

※日本をはじめ世界中でだれもが受験でき、試験結果の等級によって韓国の大学進学や就職に有利になるTOPIKとは全く別物です。念のため。

日本:日本語・日本事情の講習が不可欠

一方、日本の場合も、技能実習生の語学力に対しては、一定の担保を求めています。

  • 入国前6か月以内に1か月以上かけて160時間以上の講習を行った場合:入国後に160時間以上の講習が必要
  • 上記以外の場合:入国後に320時間以上の講習が必要

技能実習生の1年当たりの活動時間が1920時間以内と定められており、上記の日本語等の講習もそれに含まれています。よって、1年目の技能実習時間を確保するために、母国で160時間以上の講習を行うのが一般的なようです。

以上のように、外国人材の語学力について、韓国では試験による認証、日本では講習時間による認証で対応しているのが大きな違いと言えます。

受け入れ対象国について

韓国の受入国は多様

韓国では、人材を送り出す国と個別に協定を結んで、人数を決めています。対象国は16か国です。

16か国のうち、上位8か国の合計でようやく80%を超える水準になることを考えると、韓国における外国人材の出身国はかなりばらけていると言えます。

※グラフにはない協定国:モンゴル、パキスタン、東ティモール、中国、キルギス、ラオス

日本の受け入れ国は寡占

日本でも、人材を送り出す国と個別に協定を結んで人数を決めるのは同様です。対象国は韓国と同数の16か国ですが、日本はインドとペルーが入り、東ティモールとキルギスが入りません。

16か国のうち、上位4か国の合計だけで85%を超える水準であることを考えると、日本における外国人材の出身国は特定国に集中していると言えます。

※グラフにはない協定国:インド、ウズベキスタン、カンボジア、スリランカ、タイ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ペルー、ミャンマー、モンゴル、ラオス

受け入れ人材の処遇について

韓国:一定の移動できる権利がある

外国人材の事業間移動(例:農業→製造業)は不可能とされています。

一方、事業場内の移動(例:トマト農家→ブドウ農家)は法で定められた理由に限り認めており、最初の3年間で3回以内、再雇用1年10か月で2回以内とされています(ただし、休廃業など事業主の帰責事由は含まない)。「法で定められた理由」は、以下のとおりです。

  • 使用者が正当な理由で勤労契約期間中に勤労契約を解除する場合
  • 使用者が勤労契約満了前に更新を拒絶する場合(解釈上、勤労契約が満了になれば事業場の変更を認めて外国人勤労者を保護)
  • 休業、廃業、雇用許可の取消(虚偽事実での就業など)、雇用の制限(資本金や従業員数などが法で認められた範囲を超えた)、国の基準に達しない寄宿舎の提供、使用者の労働条件違反または不当な処遇など、外国人勤労者の責任ではない理由により社会通念上その事業または事業場で勤務できなくなったと認められたと雇用労働部長官が告示した場合

このように、中小企業保護という趣旨から事業間での移動ができない代わり、待遇が悪ければ事業場内の移動が認められているなど、外国人材に手厚い制度になっています。

ただし、法令上での優遇とは裏腹に、寄宿舎の環境が劣悪という報道は散見されます(下参照)。

「25万ウォンのかびだらけの寄宿舎、ビニールハウスの宿所も依然として(25만 원 곰팡이기숙사, 비닐하우스 숙소도 여전)韓国KBS 2021.12.16.放送

日本:移動は難しいのが現状

これに対し、日本での外国人技能実習制度の場合、移動が難しいようです(リンク)。移動が難しいので、「途中帰国したい」と訴える外国人材もみられる状況で、この対策として「採用のミスマッチを防ぐため面接方法を工夫する」ことが推奨されています(リンク)。

以上のように、日韓双方ともに、外国人材への処遇改善は早急に求められていると思います。

韓国の外国人材状況の補足(同胞雇用동포 고용)

韓国の外国人材制度は、「外国人勤労者雇用許可制」のほか、「同胞雇用」という制度もあります。これは、簡単に言うと、以下の特徴があります。

  • 韓国人の血を引く外国国籍者(主に中国、ロシア、中央アジアに分布)が対象
  • 「外国人勤労者雇用許可制」で必須の語学試験は免除
  • 事業場間の移動(例:プラスチック工場→ブドウ農家)も全面的に認める
  • 対象業種も「外国人勤労者雇用許可制」より大幅に拡充されているが、中小企業が対象

参考資料

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