【韓国の7大穀物とは?】日韓両国の穀物といも類消費量の推移を整理して分かったこと5選【自給率は?】

韓国の年間主食消費量の推移 韓食한식

穀物やいも類は人類の主食であり、農業生産においても各国とも最も生産量が多い品目です。また、主食の消費状況を知ることで、その国の食生活の重要な部分を知ることもできます。

こうした観点から、韓国では、主要な穀物やいも類を、国民の食生活維持のために政府が確保すべき「7大穀物」と位置づけています。でも、食生活が豊かになるにつれ、「7大穀物」の内訳を知らずに育った韓国人も少なくありません。ましてや、「7大穀物」を知る日本人はほとんどいない状況です。

以上の「7大穀物」の消費量について、日韓両国の推移を長期的に示したものもなかなか見つかりません。また、「7大穀物の」自給率を比較した資料も同様です。

そこで、このページでは、「7大穀物」について説明した後、日韓両国の消費動向や自給率を、約25年分まとめました。

日本と韓国の主食事情の概略が知りたい方は必見です。

  1. 7大穀物とは、コメ、小麦、、大麦、大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、サツマイモを指す。
  2. 韓国のコメ年間消費量は、1995年が111kg/年に対し、2020年が67kg/年と、この25年で40kg減少しており、日本より減少幅が大きい。
  3. 韓国は日本より小麦やいも類の消費量が少なく、穀物消費にコメが占める比率が高い。
  4. 両国とも、コメが自給できていて、大麦・小麦・大豆の自給率が低いのは共通している。ただし、いも類は韓国の方が自給率が高い。
  5. でんぷん(原料の大半がトウモロコシ)の自給率が両国とも低く、内外価格差が主因。

韓国の「7大穀物」とは?

韓国の「7大穀物」とは、以下の品目を指します。

  • コメ(ッサル、쌀)
  • 大麦(ボリ、보리)
  • 小麦(ミル、밀)
  • 大豆(コン、콩)
  • トウモロコシ(オクスス、옥수수)
  • ジャガイモ(カムジャ、감자)
  • サツマイモ(コグマ、고구마)

いずれも世界中で栽培されている主食の原料です。

そして、まだ韓国が貧しかったころ、政府がこれらの総量を確保して国民が飢えないようにする必要があったので定められたものだと思います。

なお、韓国のコメや小麦に関する最近の試験研究の例は、↓下リンクを参考にしてください。

【韓国の農業技術が分かる】2022年 韓国農村振興庁 農業技術大賞 5選【その4:国民とともにつくるわがコメ、わが品種で食糧主権確保】
2022年に選定された5点の農業科学技術表彰大賞の中から、「国民とともにつくるわが米、わが品種で食糧主権確保」について、その概要を翻訳してみました
【韓国の農業技術が分かる】2022年 韓国農村振興庁 農業技術大賞 5選【その2:小麦自給率向上のための機能性小麦の開発および加工利用基盤構築】
2022年に選定された5点の農業科学技術表彰大賞の中から、「小麦の自給率向上のための機能性小麦の開発および加工利用基盤構築」について、その概要を翻訳してみました。

日韓両国の「7大穀物」消費動向の推移

韓国

  • 韓国の7大穀物の消費量の推移をみると、まずコメの年間消費量が1995年の111kg/年に対し、2020年は67kg/年と、この25年で40kg減少しています。
  • 小麦、いも類、その他の消費量は、25年間で大きな変化はありません。
  • 大麦は、年間1~2kg程度と消費量に占める割合は少ないです。
  • なお、日韓とも「その他」の内訳としては、でんぷん(多くはトウモロコシ由来)+大豆であり、この2種類だけで80%を占めており、両国間に大差はありません。

日本

  • 日本でも、コメの年間消費量が1995年の75kg/年に対し、2020年は56kg/年と、この25年で20kg減少しています。
  • それ以外の穀物はほとんど消費量に変化がありません。

日韓両国の比較

  • コメの年間消費量は、1995~2020年の25年間では、日韓両国とも減少していますが、韓国の方が日本の倍の速さで減少しています。
  • 小麦およびいも類の年間消費量は、小麦が韓国の約30kgに対し日本では約40kg、いも類が韓国の約13kgに対し日本では約22kgと、それぞれ日本の方が消費量が多いです。
  • 以上のことから、年間1人当たりの穀物消費量を比較した場合、韓国は日本よりコメが占める割合が高いことが分かります。

日韓両国の穀物およびいも類自給率の推移

韓国

  • 1995~2020年を通じ、コメといも類はほぼ自給できています。
  • 大麦は減少しつつあるものの、この10年で見ると20~40%程度の自給率があります。
  • 大豆の自給率は10%弱、小麦の自給率は1%以下と低いです。

日本

  • 1995~2020年を通じ、コメはほぼ自給できています。
  • この25年で大麦・小麦・大豆の自給率は若干改善(大麦:8→12%、小麦:7→15%、大豆:2→8%)していますが、依然低い水準です。
  • いも類は、1995年の87%に対し、2020年は73%と少しずつ減少しています。

日韓両国の比較

  • 両国とも、コメが自給できていて、大麦・小麦・大豆の自給率が低いのは共通しています。
  • いも類は、韓国が自給率を維持できているのに対し、日本は減少傾向です。

補足

トウモロコシについて

7大穀物の中に、トウモロコシが入っていたのに、本文ではほとんど述べられていないことに気づいた方も多いと思います。

トウモロコシは、穀物として食べる用途は微々たるもので、大部分はでんぷんの形で輸入されています。

そして、でんぷんから、糖分(異性化糖、ブドウ糖)、加工でんぷん(麺類、菓子類、インスタント食品の原料)、グルタミン酸ソーダ(調味料など)にさらに加工されて使用されます。

日本では、国産のでんぷんはジャガイモやサツマイモ由来の10%のみであり(約30万トン)、残り90%(270万トン)がトウモロコシに由来する原料を輸入しています。

以上の背景としては、輸入でんぷんの方が、国産より安価だからです(輸入トウモロコシでんぷんの価格を1とした場合、国産ジャガイモでんぷんは2.5、サツマイモ澱粉は3.0程度)。

韓国もまったく同様の事情があります。

参考資料

7大主要穀物輸入率76%(7대 주요곡물 수입률 ‘76%):「韓国農政新聞(2016.07.23)」2023.05.22閲覧

韓国農村経済研究院「食品需給表2020(식품수급표 2020)」:p32~33、246~247 2023.05.22閲覧

農林水産省「令和3年食料需給表」:項目別累年表「国民1人・1年あたり供給粗食料」2023.05.22閲覧

農林水産省「いも及びでんぷんをめぐる事情(平成20年7月)」2023.05.22閲覧

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