果物はコメや肉のような生存に欠かせない食料ではありません。でも、人間らしく生きるためには、果物は欠かせない品目ですね。
こうした観点から、韓国では、生産量が多い果樹を、国民の食生活維持のために政府が対策すべき「6大果実」と位置づけています。また、近年、韓国は、6大果実の輸出を国策として推進しています。
このように、韓国は日本のライバル国に相当するにもかかわらず、品種構成や生産量など6大果実の基本的状況を知る日本人は果実業界の関係者であってもほとんどいない状況です。
そこで、このページでは、韓国の「6大果実」について説明した後、日韓両国の栽培面積、生産量、単位面積当たり収量について、最新の実績を整理しました。
また、一部の品目は、日本由来の品種が韓国にどれくらい導入されているかも整理しました。
日本と韓国の果実生産状況の概略が知りたい方は必見です。
- 韓国の6大果実とは、リンゴ、ナシ、モモ、ブドウ、カンキツ、カキを指す。この6品目のみで、韓国の果実生産量の90%を占める。
- 栽培面積は、モモは韓国の方が面積が多く、逆にカンキツは日本が多いものの、それ以外の品目は日本並み~やや少ない程度の栽培面積を持つ。
- 栽培品種は、リンゴ、ナシ、ブドウ、カキの4品目では、日本から導入された品種が半分以上を占めている。また、韓国の方が栽培しやすい定番の品種を好む傾向がある。
- 各果実の単収は、カンキツでは韓国が高く、リンゴでは日本が高い傾向にあるほかは、大差がない水準である。
- 日韓両国の人口(日本1億2500万人、韓国5100万人)を考えると、韓国では日本より多くの果物が流通され、食用されていると考えてよい。
韓国の「6大果実」とは?
韓国の「6大果実」は以下のとおりです。
- リンゴ(サグァ、사과)
- ナシ(ベ、배)
- モモ(ボクスンア、복숭아)
- ブドウ(ポド、포도)
- カンキツ(カムキュル、감귤)
- カキ(カム、감)
ご覧のとおり、6品目とも日本でも普通にみられる果実です。
なお、韓国では、6大果実だけで果樹すべての栽培面積の75%、生産量の90%を占めています。
なので、6大果実だけで、韓国人が欲しがる定番の果実をほぼ網羅できていることになります。
リンゴの品種別作付面積、生産量、単収について
品種別栽培面積の日韓比較
- 韓国、日本ともに、リンゴの作付面積は3万ヘクタール強になっています。
- 品種別にみると、日本で育成された「ふじ」は、韓国では全面積の70%、日本では50%を占めています。
生産量と単収の日韓比較
- 韓国のリンゴ生産量は、日本の70%弱あります。
- リンゴの単収は、日本が韓国より30%程度高いです。
ナシの品種別作付面積、生産量、単収について
品種別栽培面積の日韓比較
- 韓国、日本ともに、ナシの作付面積は1万ヘクタール前後になっています。
- 品種別にみると、日本で育成された「新高」は、韓国では全面積の80%を占めていますが、日本では7%に過ぎません。半面、日本で育成された「幸水」、「豊水」は韓国ではほとんど栽培がありません。
生産量と単収の日韓比較
- 韓国のナシ生産量は、日本の80%弱あります。
- ナシの単収は、日本が韓国より10%程度高いです。
モモの作付面積、生産量、単収について
- 韓国のモモ作付面積は、日本の2倍以上と大差があります。
- 以上から、韓国のモモ生産量は、日本の1.8倍程度あります。
- モモの単収は、日本が韓国より20%程度高いです。
ブドウの品種別作付面積、生産量、単収について
品種別栽培面積の日韓比較
- ブドウの栽培面積は、韓国では1万3000ヘクタール、日本では1万6500ヘクタール程度であり、韓国は日本の80%程度の面積があります。
- 品種別にみると、日本で育成された「巨峰」・「シャインマスカット」・「マスカットベリーA」の合計作付面積は、全作付面積の60%強を占めています。
生産量と単収の日韓比較
- 韓国のブドウ生産量は、日本とほぼ同じ16万6000トン程度あります。
- ブドウの単収は、韓国が日本より25%程度高いです。
なお、ブドウの収量や生産性などのより詳しいデータは、下リンクを参照してください。
カンキツの品種別作付面積、生産量、単収について
- カンキツの栽培面積は、韓国では2万1000ヘクタール、日本では3万9000ヘクタール程度で、韓国は日本の55%程度しかありません。
- しかし、生産量は、韓国では66万トン、日本では77万トンと、韓国は日本の85%程度あります。
- 上記の結果から、韓国のカンキツ単収は、日本の1.5倍程度あることになります。
カキの品種別作付面積、生産量、単収について
品種別栽培面積の日韓比較(甘ガキのみ)
- 甘ガキの栽培面積は、韓国は日本の1.7倍程度あります。
- 甘ガキの品種構成は、韓国・日本とも類似していて、日本原産の在来種「富有」+「次郎」で90%以上を占めています。
生産量と単収の日韓比較
- 渋ガキを含んだすべてのカキの栽培面積は、日韓両国とも2万ヘクタール前後あります。
- また、生産量も、日韓両国ともに19万トン程度になっています。
- 単収は、韓国は日本の90%弱になっています。
補足
上で見たとおり、韓国の果実生産量は、日本とほぼ同じ水準です。
そして、韓国の人口が5100万人、日本の人口が1億2500万人います。
輸出や貯蔵中の損耗による目減りはあり得ますが、韓国:日本で1:2.5の人口比があるのです。
これらを合わせ考えると、韓国人は日本人よりも国産の果物が国内にたくさん流通し、たくさん食べられていると言えます。
参考資料
6大果実生育状況「おおむね良好」(6대 과일 생육 상황 ‘대체로 양호’):「韓国農漁民新聞(2019.04.16)」2023.5.24閲覧
2022年主要作物栽培面積変化推定(2022년 주요작물 재배면적 변화추정):「農機資材新聞(2022.02.01)」2023.5.24閲覧
大韓民国統計庁「2020農作物生産調査、果実生産量」(통계청「2020농작물생산조사, 과실생산량」):2023.5.24閲覧
「果物ナビ」:りんご、なし、もも、ぶどう、温州みかん、カンキツ類、かきのページを2023.5.24閲覧